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     テーマ 143 管理職者、指導者としての言動を学ぶ
       

■貞観政要(じょうがんせいよう)から管理職者のあり方を学ぶ

「貞観政要(じょうがんせいよう)」は、唐の第2代皇帝、太宗・李世民の言行録です。
太宗と臣下(部下)の政治上の議論や問答を史家の呉兢(ごきょう)が編纂したものです。

「貞観」とは、当時の元号(年号/西暦627〜649年)のことで、
貞観の時代は、中国史上、もっとも国内が治まった時代のひとつといわれています。

「政要」とは、政治の要諦との意味合いで、
「貞観政要」は、貞観時代の政治のポイントをまとめた書物であり、
平和な時代を築いた太宗と、その臣下たちの取組姿勢が書かれております。

その中に下記のような一節があります。

-----
「人を知る者はせいぜい智者の水準であるが、自分を知る者は真に明智の人である。」

「天下を治めるには、まず君主が自分の行いを正しくコントロールすべきである。
 自分をコントロールするためには、勉強をしなければいけない。

 勉強をするときは、素直さと謙虚さを忘れずに、正しい教えを請うべきである。
 正しい教えを学べば、正しい自分になることができる。

 そうすれば、天下は自ずと平和になる。」
-----

謙虚な姿勢で学習することがまず重要であることが分かります。
学びの中から、自制心、自立心も身に付くということも分かります。

一方、自分のことが分からないというのが、人間の致命的な欠点とも言えますが、
太宗は魏徴(ぎちょう)という臣下を自分の言動の悪い所を指摘する役として設置しています。

その魏徴が亡くなったときに太宗は下記のようなことを言っております。

「銅を鏡にすれば、衣服や身なりを整えることができる。
 歴史を鏡とすれば、人の世の興隆や衰亡を知ることができる。

 人を鏡とすれば、自分の行ないを正すことができる。
 厳しいことを言ってくれる魏徴は、鏡のような存在であった。

 魏徴を失い、私は一面の鏡を失ってしまった」

我々は、太宗のようにはなれませんが、組織をきちんと運営するというのは、
太古の昔より非常に大変だということが分かります。

やはり、日頃の学習により自己研鑽を積み重ね、
人として、管理職として成長していくことしかありません。

■指導者としての自分をチェックしてみる

第37代アメリカ合衆国の大統領リチャード・ニクソン氏が
自分に近い時代の偉大な指導者たちのエピソードと

自分自身の指導者論を著した「指導者とは」の本の中に
下記のような一節があります。

-----
「偉業は、偉人を得ずして成ることがない。
そして、偉人たちは偉大たらんと決意する意志力により偉大になる。」

ドゴール(フランスの第18代大統領)は、そう書いている。
指導者として大成する人は、強い意志を持ち、他者の意志を動かすすべを知っている。

私が前章までに書いてきた指導者たちは、程度の差こそあれ、
いずれも歴史に自己の意志を刻んだ人々だった。

彼らが通常人より一段と高いところにいるのは、
彼らがそうあろうと“願望”したからではなく“決意”したからである。

この差が、権力とその行使を理解するうえで非常に大切になってくる。
願望は受身だが、決意は能動。追随者は願望し、指導者は決意する。
----

一国の指導者レベルの話ではありますが、
部下を持つ管理職者としても参考になる話です。

管理職者は自分の役割、立場を自覚し、仕事に取り組むときは、
自らの意志により目標を設定し、
その目標を必達するという強い意志を持たなければなりません。

管理職者として、売上、利益の目標達成を決意する、部下の育成を決意する。
目標が達成しなくても何とかなると思っていないか、自分に甘えたところはないか、
を今一度振り返るには、参考になる文章と思います。

一見、あたり前のことのようですが、
決意するという意味合いをもう一度考えてみることが重要です。

また、「指導者とは」の中には、
リチャード・ニクソン氏が考える指導者の資格として下記のような一節もあります。

-----
・指導者は、いつ闘うべきか、いつ退くべきか、いつ初心を貫くべきか、
 いつ妥協すべきか、いつ発言し、いつ沈黙すべきかを知らねばならない。

・指導者は、広い視野を持つと同時に、明確な戦略と目標とビジョンを持たねばならない。

・指導者は、全体を眺め、一つの決断と他の決断との関係を見極めなければならない。

・指導者は、先頭に立つべきだが、支持者が随いて来られないほど先頭であってはならない。
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指導者という本には、チャーチル、ドゴール、マッカーサー、
吉田茂など第二次大戦後の時代を率いた世界の指導者たちのことが書かれています。

このような指導者の方々を踏まえての指導者の資格ということですので、
上記の文章もあたり前のようにも思えますが、

人を指導する立場の人間としての重要なポイントであることは間違いないかと思います。

管理職者として、指導者として自分の日頃の言動を、
チェックしてみるのは参考になる文章と思います。